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『Arts and Media / volume 06』

学術誌『Arts and Media / volume 06』

大阪大学大学院文学研究科文化動態論専攻アート・メディア論研究室 編集
松本工房 出版

A5版/148×210mm/288頁
並製/封筒貼付/カード・フライヤー付/2016年
AD+D+DTP:松本久木

渾沌から紡ぎ出す、境域的思索

人が集い、言葉を交わし、知が生まれる。
芸術と社会の間に立ち、あらゆる学問分野を横断する
大阪大学アート・メディア論研究室が贈る、
知行一致の学術誌。
提撕の第6号。


 はるか古代、人が広漠たる自然と同化し、寒暑の往来を通じて、昼夜季節の変化を知るばかりな暮らしを営んでいたころ──韻律に乗せた吟唱は雄弁なコミュニケーション・ツールであり、神像を刻んだ画像は貴重なメッセージの伝達手段、すなわちメディアであった。だが、メディアはいつしか芸術へと昇華する。そうして詩が生まれ、絵画や彫刻が誕生した。ひるがえって現代の芸術論を紐解くと、あまりに「芸術のための芸術」にとらわれた議論が多くはないだろうか。詩や文学が本来、言語によってできていること。そしてイメージの内には心を震わすパワーが秘められていること。その単純な事実に、あまりに無頓着になってしまってはいないだろうか。
大阪大学文学研究科アート・メディア論研究室が発行する本誌『Arts and Media』は、アートとメディアの原初の関係に改めて注目し、芸術をもう一度、情報伝達の手段として見てみたい、そんな熱望から生まれた雑誌である。あるいは逆に、現在、情報伝達のツールとして生まれ、活用されている様々な手段が、今まさにアートへと変貌しつつあるその瞬間を切り取ってみたい。収録される論考は、映画や写真、絵画、建築、文学、マンガ、新聞・ラジオ、演劇、博物館学などなど、実に多彩だ。この「祝祭的な混沌」が生み出すジャンル不明性こそは、ただ本研究室にのみ醸成可能な知的テンションであると自負するものである。
遺伝子の多様性が生命の安全装置として機能するように、我々は文化の多様性を保つことこそが、現代社会に対するある種のセーフティネットになるものと心から信じている。文だの理だのといった狭隘な専門跼蹐の殻を打ち破り、百学連環の知の饗宴をとくと愉しんでいただきたい。
(桑木野幸司「刊行の辞」)


[巻頭言]

古後奈緒子|間の場所をつくる

[論文]

市川 明|レッシングの『賢者ナータン』について
岡北一孝|模倣と修整、アルベルティによるルチェッラーイ礼拝堂の聖墳墓
大谷晋平|『砂の女』にみられる「主観性」
徳原真穂|ストローブ=ユイレのセザンヌ受容に関する一考察─「かつてあの山は火だったのだ」という言葉をめぐって
岡本紀子|一九三六年:立原道造の京都散策─京都近代建築への関心とその影響
高木繭絹子|仏領期コーチシナ・サイゴンに於けるパリ外国宣教会の建築活動

[インタビュー]

和田春佳|コンテンポラリー・ダンスを仕事にすること─関典子×素我螺部

[研究ノート]

桑木野幸司|科学とアート:ルネサンス博物図譜小史
北岡志織|カンプナーゲルの難民問題に関する先駆的試みをめぐって
松本祐香|宝塚歌劇団『ベルサイユのばら』における翻案の手法─楽曲を中心に─
片岡浪秀|電波監理委員会の役割とそれを巡る新聞社の動向
鵜尾佳奈|一九六〇年代前半におけるロバート・モリスとグリーン・ギャラリー
仲埜登志子|晩年のグスタフ・クリムトとパトロンたち─その関係性の在り方と肖像作品の表現に関する考察
関 大輔|占星術とイメージをめぐるヘルメス的考察

[特集]

〈通訳〉の話:(インタビュー)三田宏美/窓研究所/内野 花
企画・編集=小池陽香/宍戸里帆/仁科泰生/渡部陣悟

[ハッシュタグ・プロフ]

桑木野幸司|自動機械人形の詩学:庭とマシンと風景
圀府寺 司|随想 『ユダヤ人と近代美術』からアート・マーケットへ
古後奈緒子|「ドキュメント/アクション」から「ドキュメンテーション/アーカイヴ」へ
永田 靖|雲門舞集の新しい劇場
三宅祥雄|螺旋と反復の物語─ヒッチコック「めまい」の余白に


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